2014年04月29日

鷺流狂言

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伝統芸能「狂言」は、能とともに室町時代に原形が形作られ、江戸時代には幕府の式楽として保護されました。大蔵流・和泉流・鷺流が三大流派をなし、長州藩お抱え狂言方には大蔵流と鷺流がありました。明治維新によって幕府や藩という後ろ盾を失った各流派は衰退の危機に直面し、なかでも鷺流は全国的にもほとんど途絶えてしまい、かろうじて佐渡と山口に残されました。そのうち山口に伝わるものは唯一鷺伝右衛門派の流れを汲むもので、「世界で山口にしかない伝統芸能」といえます。

萩に生まれ、幕末江戸で鷺流の鷺伝右衛門に学んだ春日庄作は、明治19年(1886)野田神社の神事能へ出演します。その後山口に移り住み、多くの弟子達に狂言を教え伝えました。こうして山口に鷺流狂言が伝承されていくことになります。昭和29年(1954)山口鷺流狂言保存会を結成、昭和37年に開始された鷺流狂言伝習会は、技術伝承の場としていまに至っています。

県指定無形文化財保持者・小林栄治氏、米本文明氏を中心に、約20名の会員により、まなび館での伝習会、定期公演、小中学校での上演、中学生への指導、依頼公演などの活動が続けられています。まなび館では隔年で初心者を対象とした教室も開講されています(次は平成27年度)。

山口鷺流狂言保存会は、明治期に家元が途絶えた鷺流狂言を今日まで受け継ぎ、広く市民に継承・普及してきた活動が高く評価され、平成24年度サントリー地域文化賞を受賞されました。山口市内の方の受賞は初めてで、狂言単独での受賞は全国初とのことです。

posted by 伝承センター at 10:58| 伝統文化